1.本プログラムの目的と特徴
<目的>
企業は競争優位性を技術力とそれによる差別化に依存してきた。
しかし技術は事業化や各種の経営的行為を通じて企業価値を形成してきている。
今回の講座では、経営リスクとマネジメントの要点に関して、技術の特性に着目しながら、実務経験者の課題提起と、それを受けて参加者との討議を行う。単に経営学的知見に留まることなく、実務の経営者と、技術に立脚した経営の要諦を議論し、ひいては今後の企業経営の方向を探る場を提供する。
<プログラムの特徴>
1)技術経営に関して世界で繰り広げられてきた、現実の企業事例をもとに、経営学的視点をベースに経営的問題点を抽出、論議を行なう
2)わが国の第一線で活躍している経営当事者の現場視点でのコメント、ディスカッションにより、問題構造を鮮明にする
3)自社の経営的な問題点に置き換えて考え論議を行う
4)問題意識の高い参加者同士の異業種交流の場とする
2.各セッションの概要
1日目 8月22日(月) (初日は10時開校)
開講式 基調公演&オリエンテーション
【技術立脚型経営と経営リスク】
講師 許斐義信、特定非営利活動法人技術立脚型経営研究会理事長
元慶應義塾大学経営管理研究科教授
【技術立脚型経営におけるリスクマネジメント】
COSO(*)をはじめとするリスクマネジメントを鳥瞰し、技術要
素を加味した制度への高度化を提言いたします。
(*)Committee of Sponsoring Organizations 1992年に米国の
トレッドウェイ委員会組織委員会が 公表した内部統制のフレー
ムワーク。今日、事実上の世界標準。
講師 水島正 特定非営利活動法人技術立脚型経営研究会理事
PNBアセット・マネジメント・ジャパン(株) 代表取締役社長
【基調講演:製造業における企業経営の国際化(仮題)】
経営は事業機会を含む経営環境への適合化と経営バランスの調整が
主要な経営領域だと言われて来ましたが、新たに危機管理・リスク
マネジメントの視点を加える必要がでてきております。
企業の国際化をこれらの経営的視点を加えて課題提示頂きます。
講師 高橋 忠生 日産自動車株式会社 特別顧問(元副会長)
【懇親会】
受講者自己紹介
2日目 8月23日(火)
技術マネジメントと事業モデル(投資リスクの観点から)
【技術立脚型経営における事業モデルの戦略
(クリーンエネルギー関連設備事業を含む)】
技術開発に付随するリスクは事業化の成否で大きく左右されます。
事業成功には経営資源や市場・顧客との適合化など不可欠な要素を
組み合わせることが要点です。
事業モデルは、この観点から戦略性を持った視点が求められます。
講師 渡辺徹 アプライドマテリアルズジャパン㈱代表取締役社長
【海外企業と競合するハイテク事業の再生戦略】
国際化の進展に伴い敗退する事例が増えてきている。一旦は敗退し
たと見倣される事業を、その原因を修復して再生するという戦略を
検討してみたい。
講師 鈴木武夫 TDKラムダ株式会社 元社長
<モデレーター>鈴木寛純 AIMグローバルマーケティング㈱ 社長
【グループ討議&発表】
3日目 8月24日(水)
標準化と知的財産戦略(技術間競争とリスク回避)
【知財による事業プラットフォームの形成と競争戦略】
事業を育てるには単に魅了的な製品を開発するだけではなく、事業
そのものを成立させるに足るプラットフォームあるいは事業基盤と
も言うべき要件を整備しなければならない。ここでは知財をベース
にした事業プラットフォームの構築を事例にして、検討する。
講師 中村嘉秀 アルダージ(株)代表取締役社長
講師 加藤恒、 三菱電機(株) 知的財産渉外部長
【グローバル標準化の諸問題と対応戦略】
技術間競争が存在する場合、競争技術を整理していわゆる標準化を
成功させることが重要な課題となる。標準化は差別化できる技術優
位性を競争他社へも開示しなければならないケースを列記しながら
技術基盤の標準化に関して討議する。
講師 弓場英明 富士通・富士通研究所特命顧問・富士通元常務
<モデレーター> 高橋 修 富士通テン元専務取締役
日商エレクトロニクス監査役
【個人研究】
4日目 8月25日(木)
グローバルな事業・技術戦略
(国際事業におけるリスクマネジメント)
【国際連携と国際分業によるグローバルな技術戦略】
企業の国際化が進展し、いわゆるグローバル企業が登場してきてい
ます。価値観もまた行動様式も異質で更に市場の特性も異なる企業
における国際連携と国際分業とのあり方を検討します。各講師の課
題提起を受けてミニ・シンポジウムを行います。
講師 野津英夫 住友スリーエム株式会社 元常務
佐々木繁 富士通研究所 常務取締役
【台湾の国家の技術戦略と企業の技術立脚型経営】
電子・電機業界における国際競争では台湾企業の活躍が目立ってい
ます。ソレクトロンをはじめとするEMSは台湾と中国との間の自由
貿易協定も多大な貢献をしています。このように国際的にしかも国
家間の技術特性を統合化して国家戦略を構築し、その上で事業展開
に成功した台湾企業のグローバル戦略をベースに如何なる戦略が有
効なのか、台湾でこの種の戦略企画に携わった先導者をお招きして
検討します。
講師 蔡 温喜 A. Open, 董事長
<モデレーター> 坂巻資敏 (株)リコー元常務執行役員
企業の国際化に関わる事業と技術の連携と分散
【グループ討議&発表】
5日目 8月26日(金)
事業構造改革の戦略(構造転換のリスクマネジメント)
【高付加価値事業への転換】
国際化の進展は伝統的な事業の維持を困難にしています。ケースに
よっては本業といえども撤退を決意せざるを得ない高度な経営的決
断を要求されます。同時に新規軸を打ち出し、新たな事業機会に挑
むことが求められます。
講師 中野克彦 日本ゼオン㈱相談役 元代表取締役会長
<モデレーター> 許斐義信
多角化企業における競争優位を狙った事業構造の改革
【修了式】 (最終日は13時終了予定) ■修了証書授与