第13回 2017年2月21日〜24日開催

テーマ   Industrie4.0 ・ IoT  と 技術経営

▧ その実像に迫る ▧ ▧

 3回のMOT研究会は「産業革命は起こるのか」をテーマとして、現在欧米で提唱されているIndustrie4.0 IoTを取上げ変革は何か、その本質を探るべく、国家や産業界の動向・企業の事例などを分析し研究を重ねて参りました。わが国の産業構造は、経済の変化に追随したグローバル化の波の影響もあり、国内においては価格競争力の相対的な劣化に起因した海外への生産移転、さらに拡大した市場に対応するため開発移転も伴い、次第に競争力の低下をも惹起されてきました。こうした環境下でドイツの掲げるIndustrie4.0、米国の唱えるIoTに対する官民学の関心も高く、わが国の産業政策の構築、即ち、所謂経営環境の変化という転換点で如何に新たで優位な競争的の地位を獲得できるのかが経済成長戦略の基本命題になっております。

ここ2年間にわたるMOT研究会の活動を振返り、提起してきた課題を総覧すると以下のようになります。20158月には、「Indstrie4.0 に関して産業と社会の活性を図るドイツNRW州の取組み」「IoT時代のイノベーション 富士通」「ITと自動車・新規事業に着目した産業クラスター」「テクノロジーと市場 IBM」。

20162月にはIndstrie4.0をさらに詳らかにするとともに、IoTに関してわが国で取組んでいる事業戦略を取り上げました。「ドイツバイエルン州の製造業を中心にしたIndstrie4.0」「ものづくりと顧客価値創造 コマツ」「技術で企業革新を続ける3M」「電子機器で支配モデルを続ける村田製作所」そして「技術経営における知的財産戦略」です。

20168月には、前2回の研究会を踏まえて、わが国の国家戦略としての取組みを研究することとし「新産業構造ビジョン・・第4次産業革命をリードする日本の戦略 経済産業省」「AI(人工知能)のインパクト NEC」「わが国の自動車自動運転の実現と展望 日産など」「ITを活用した画像医療システム 富士フイルム」「ものづくりでのデジタル技術の活用 三菱電機」「第4次産業革命に向けた製造業の取組み 東芝」を研究しました。

    こうした分析・研究を継続する中から、2015年のハノーバーメッセの具体的な内容や、産業革命を巡る世界レベルでの国家間の連携、さらに産業界の取組みが明らかになり、わが国としてもより具体的な行動レベルでのIndstrie4.0・IoTへの取組みが必要であるとの結論に至りました。

 

以上のような観点に立ち、第13回MOT研究会では、①「わが国の製造業における取組み」を明らかにすること、さらに、②「米国の動向・ドイツの取組みの実際を講義・紹介」を織込み、議論を展開していきたいと考えます。

 

わが国は、かねて世界を凌駕し羨望の的である技術を持っていました。それは生産の自動化、機器への搭載も含めた自動であり、マイクロエレクロニクス技術を駆使した産業革新、製造革新は、わが国の強みでした。IoT・Industrie4.0の本質を捉えた経営的な視点とその取り込みと深耕、加えてわが国の技術戦略に重要である標準化・規格化に関して「知的財産戦略」の理解の深化を図りたく考えます。新たな産業革命をリードすべくわが国の強みを検証し、競争力を強化するための対応戦略を皆様と論議し、構築してまいる所存です。

 

                          (許斐 義信)    

 

 

 

2月21日(火) オリエンテーション & 包括論議と全体討議

AM 10001230  Industrie4.0  IoT のインパクト』

  Industrie4.0は国際化に対応した製造業の革新を狙ったものであったと見做しています。そのハードとソフトの融合という新たな経営革新へのインパクトは、情報技術で先行した米国ではIoTと概念拡充しより広範囲の産業革新として政策的にも再定義を迫られてきました。このインパクが企業活動や、とりわけ国際競争力に影響を与えるのか、本研究会の目標を提示します。

 

許斐 義信    技術立脚型経営研究会理事長  元慶應義塾大学大学院教授  

 

 

PM 13:301700

『MOT研究会 IoT/Industrie4.0に関する包括論議と全体討議』     

今までの、MOT研究会で行ったIoT/Industrie4.0に関する議論を元にわが国の産業の強みを生かした産業政策・施策について、JCTM役員・参加者・有識者のとディスカッションを行います。

13回MOT研究会  参加者

技術立脚型経営研究会

役員(理事:坂巻資敏・髙橋修・池上眞平・石村浩・坂本仁・後藤信弘)

株式会社エヌ・アール・ダブリュージャパン 取締役 三枝 樹洋様

 

 

 

2月22日(水)  わが国の製造業 IoT への取組み

 

AM 09001230 

『製造業の取り組み―2017年の新たな展開~第4次産業革命・Industrial IoTに向けた製造業の取り組みと最新動向を捉える~』

 

4次産業革命、Industrie4.0やインダストリアル・インターネット、IoT等に先行して取組んでいる先進各社の取組み・戦略をつかみ、新しい産業革命の時代に、どう向き合い・どう立ち向かっていくのかを考えます。講義では最初に第4次産業革命のインパクトや動向のレビューから、日本の製造業にとってのインパクト、直面する課題を念頭に、先進各社の取組み・事例を示しながら、各社がめざすビジネスモデル変革、エコシステム戦略、プラットフォーム戦略等を掴み、IoT時代の製造業のあり方を考えるきっかけ作りをめざします。この大きな動きにどのように向き合い、自社・事業戦略・製品戦略等に活かせるアイディアやキーとなる考え方を論議いたします。

 

中村 公弘様  株式会社 東芝  インダストリーICTソリューション社

       IoT技師長          

 

               

IoTとAIがもたらす産業へのインパクト』

AIIoTというデジタル技術が、企業経営を革新し業界における競争優位性を

築くうえで重要な意味をもつ時代を迎えつつあります。本講では最近の事例を

交えつつ、この新たな潮流がもたらすインパクトを技術とビジネスモデルの両

面から考察し、これまでの企業経営変革との同質性および異質性を論じます。

さらに、日本の産業競争力の観点でどのような取組みが重要となるかについて

も議論したいと考えます。

 

望月 康則 様         日本電気株式会社  執行役員 兼 IoT戦略室長

   行秀 様    日本電気株式会社  第一製造業ソリューション事業部                バリュークリエイション部 部長

 

 

 

19:002100 『特別講義   自動車産業とIoT   EV化と自動運転』

                               現在自動車には化石燃料をはじめとする資源の枯渇、および機構返送への対応が求められている。また高齢化社会への対応も期待されています。これら課題への対応策として活発化しているハイブリッドまで含めた動力の電気化によるエネルギー効率の工場、自動運転技術の開発を述べ、さらに最近活発な活動をしているアメリカの電気自動車ベンチャーの電池業界の動向に触れてまります。

 

                               小野 昌朗 様 株式会社東京アール・アンド・デー代表取締役CEO

   JCTM理事 

 

(懇談)

 

 

 

 

2月23日(木)   海外  米国・ドイツの取組み  Industrie4.0IoT による変革

 

AM 09001230  『IoTによる技術変革とビジネス変革』

       

現在、USとドイツが中心となって推進されつつあるIoTの状況と今後の展開

を、最新状況をもとに解説す問題

・課題を抽出してディスカッションを行い、今後の対応を洞察・検討します。

                                吉野 晃生 様       一般財団法人日本OMG  代表理事

 

 

                              PM 13301700

                               『インダストリー40の実現に向けて ~デジタル・エンタープライズ・プラットフォームの紹介~』

 

インダストリー4.0の実現に必要となる、ICTAI、先進ロボット、クラウドなどのデジタル技術は成熟し、世界中の企業からインダストリー4.0に向けた取り組みが発表されています。このような状況の中では企業のバリューチェーン全体をシームレスにデータ統合し、より早く、より柔軟で、より効率的な生産を実現することが、強い競争力を確保して勝ち残るための条件となります。この流れは大企業のみならず、日本の中小企業にとっても避けて通れないものであると同時に、新たなビジネスチャンスを生む原動力になりえます。本講義では、インダストリー4.0本質と、その実現のためにシーメンスが推進するデジタル・エンタープライズについて説明します。さらにヨーロッパなどにおける具体的な取組み事例や各企業がインダストリー4.0へ参画するためのツールとして、同社が提供するデジタル・プラットフォームを紹介します。

 

島田 太郎 様   シーメンス株式会社デジタルファクトリー事業本部

          プロセス&ドライブ事業本部 専務執行役員事業本部長

 

 

グループ研究(懇談)          全参加者

 

 

 

 

2月24日(金)

                              AM 09001230

『IoT・ビックデータ 人工知能(AI)時代の知財戦略~事業の弱みを消し強みを増す知財戦略の要諦』

1、技術立脚型経営は技術・知財を創造し、重要な経営資産として活用して事業を強くし、持続、発展するために経営戦略に知財戦略を組込むことが必須です。

2、企業経営者(事業・技術・知財部門)のなすべきこと

全社戦略と事業部戦略機能を持ち、企業(事業)戦略構築に必要とす      る全社及び各事業部別の技術・知財の真の強み、弱みの実態を常時把      握し、経営情報及び知財活動情報としての活用と、企業(事業)戦略      は事業・技術・知財の先読みの情報の共有により三位一体の活動で構      築します。

、新知財システム⇒知財の本質=排他権=事業の弱みを消し、強み       を増す=知財の要諦は同じ、戦略・組織・機能のつながりは強く広       く、実践活動は事業の強み、弱みの実態把握と(α)、(β)の評       価が求められます。

・弱みを消す⇒現在の解消法+提携、連係、グループ化戦略の優位さ、広さ          (α)が必要

・強みを増す⇒現在の増強法+提携、連係、グループ化戦略の優位さ、広さ          (β)が必要

 

                             丸島 儀一 様   丸島特許事務所 所長 弁理士、

金沢工業大学大学院イノベーションマネジメント専攻客員教授、        日本工業大学専門職大学院MOT客員教授

 

 

                             PM 13301530  

イノベーションの創出とマネジメント  -3M事例を中心に-

                              「産業業革命は起こるのか」「わが国の製造業は勝ち進めるか」「そのキーサクセスファクターは何か」。これらはわが国産業の喫緊の大課題といえます。革命の兆しは既にIndustrie 4.0IoTに見られ、グローバルにどのような変化を社会にもたらすか、各企業は事業への影響を熟慮し経営レベルで対応策を立案・実施する必要があります。時間と共に顕在化する変化は不連続で、かつ、その速度はますます速くなり、所謂ビッグバン型イノベーションが中心になると予測されます。来るべき大変化の時代に持続的発展を達成するために、クリステンセンの唱える破壊的イノベーション能力が必須と考えられます。イノベーションはイノベーターに依存すると考えがちですが、基盤技術を見極めながら時代に合わせて練磨・作興する組織的な取組みも重要であり、先進的企業で積極的に実践しているところもあります。3Mを含むいくつかの取組みを紹介し、破壊的イノベーションに必要な組織能力、即ち経営とは何か、マネジメントサイドの課題について考えてまいります。

 

 

野津 英夫 様        技術立脚型経営研究会理事 

            元住友スリー・エム株式会社常務取締役CTO