第7回MOTセミナー(2014年2月25日〜3月1日に実施)

2月25日(火)     グローバル経営と技術戦略

 

◆オリエンテーション

10:00 プログラム説明 全体を通じた課題の提起

講師  許斐 義信   技術立脚型経営研究会理事長  元慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授

 

◆ライブケース 

『基盤技術による新製品イノベーション』

基盤技術による新製品イノベーション経営では米国3M社が有名である。同社の経営は所謂、コーポレートの事業ポートフォリオで経営の基軸ができている所謂、米国型の選択と集中論で展開されている。しかし技術基盤をベースに多様なニードに適合させられれば、思わぬ新製品を生む。この種の経営資源の活力をベースに行う経営をリソースベースド論と経営学では呼び、選択と集中論の「分析的経営戦略論」とは対峙する関係である。技術基盤を重視するわが国の企業においては、特に重要な経営スタイルであると考えている。本セッションでは、この種の経営の主軸をどこに置き、それを梃子に経営革新を成し遂げるのか、事例を元に検討する。

 

課題提供:元富士フィルムHD(株)

     取締役常務執行役員  池上 眞平 様         

 

                        

◆懇談会

18:00  自己紹介、MOTセミナー参加の抱負 等

 
 
2月26日(水)
 
◆テーマ別研究会報告及び討議
『イノベーションを生み出す経営革新』
最近のJCTMでは「グローバリゼーションと技術」と共に「製品開発・新事業創出」の2つの研究会を開催してきた。本セッションでは、その研究成果を披歴し、イノベーションを先導できる経営の要諦を検討す
る。研究対象は電子・電気産業で多くの日本企業である。世界においてその事業領域では、多くのイノベーションは欠かせない作業であると考えている。そして当該事業と係わりない業種においても潜在的に類似の
リスクに曝されている現状に立ち、そのリスクを回避する為の戦略や企業経営の高度化は避けては通れない。
 
課題提供:研究会 第二テーマ 「製品開発・新規事業創出研究会」
 
 
◆ライブケース
『斬新な事業モデル開発と知財戦略』
事業モデルの斬新さは多くの企業の事業課題である。特にシステム全体を更に広範囲に拡大する方法と、顧客価値最大化とは異質な事業モデル、つまり自社の競争優位性に特化して競争優位な事業モデルの開発可能性を検討する。討議の事例としては第3世代ケイタイのコア技術とそれをファーム化したチップの事業化に特化し世界市場を席巻している米国の成長企業であるクアルコム社を取り上げ、競争優位の事業モデル開発と、世代間競争を凌駕し事業モデルの負の要素でもある事業モデルの特異性を排除してきた戦略を検討する。
同社は2013年、この種の事業を特化させて最大のチップ企業に登り詰めることに成功した、その戦略にも触れハイテク企業戦略の成功要因を解析する。
 
課題提起:クアルコム・ジャパン
     特別顧問 (元会長兼社長) 山田 純 様
         
 
2月27日(木)  事業所見学及び討議
 
◆事業所見学
 
『技術力強化の戦略的投資』
わが国の産業はスパコン、バイオ、航空宇宙、エネルギーなどなどの産業分野で、新たな経済基盤を構築することが求められている。しかし、これらの新産業では多額の研究開発投資を必要としており、民間企業の経営努力だけでは、その経済的条件を整えるには障害が多い。それが国家的視点でも大型プロジェクトが求められる背景でもある。今回はJAXAを訪問し、宇宙産業の開発現場とそこでの開発者との交流を行う。
また、産業の牽引力も期待されており、大型技術の民間産業への移転と活性化への貢献可能性に関しても現地で討議する。(バス送迎を予定)
 
開発拠点:JAXA(宇宙航空研究開発機構 茨城県つくば市)
                     の見学と研究者との討議
 
 
2月28 日(金)  
 
◆ライブケース
『価値づけによる総合的事業競争優位性の確立』
競争優位性は顧客のニードの変化で再定義が求められる。特に情報産業ではそれ自体の価値は変化がないが、単なる情報価値を提供するだけでは情報産業間の競争環境が変化するために、提供企業に顧客価値が還元されないことが起きる。総合機械産業における市場と競争の変化への対応は個々の事業分野により異なるから、特に多角化された企業においては各種の事業要素を統合することで、総合的な価値を提供することが可能となり個々の事業の顧客価値を再定義することができる。本セッションでは総合機械会社を事例に事業部横断的な活動に切り替えることで価値付や競争優位性を如何に高度化し実現できるかを課題に討議を進めたい。
 
課題提供:日立製作所副社長  岩田 眞二郎 様
 
◆提言  
『事業を守る知的財産戦略の要諦』
技術による事業独占の破壊、新世代技術による事業防衛、そして技術によるリーダー企業の寡占化戦略など、特に知的財産戦略の“競争優性”に関する知見は、今後の特に技術立脚型経営において欠かせないものである。欧米との競争だけでなく、新たな新興国との競争においても最重要の課題である。技術による競争基盤の形成、技術による事業プラットフォームの制御などなど、新たな知財権でもあるトレードドレスを含めて知財戦略の第一人者からの教訓を得て、今後の戦略構築の要点を討議する。
           
課題提供:金沢工業大学大学院客員教授 弁理士 丸島 儀一 様
 
 
3月1日(土)
 
◆ライブケース
『新製品の基盤技術開発戦略』
どのような新事業においても肝要な技術的要素を他の事業要素と融合できなければ当該新製品の競争力を強化することはできない。本講義では電気自動車やハイブリッド車には不可欠は2次電源装置の開発において、時間的にも事業的にも群を抜く開発力のある先行企業を事例として、新たな製品の実現性を検討する。試作車の開発、コンポーネントでもある2次電池の開発など多岐に亘る事業を展開しているベンチャー的技術立脚型企業を研究し国際的視野で標準化の動向と技術競争基盤の形成の考え方について討議する。
 
課題提供:東京アール・アンド・デー 社長  小野 昌郎 様
 
 
◆修了式
14:00   閉講挨拶  修了証授与