【ここ3年間のMOT研究会の取り組み】
技術立脚型経営研究会では、ここ3年間 テーマを「産業革命は起こるのか」と題し、その発端となったドイツにおける Industrie4.0、米国のI o Tはわが国の産業や社会にどのような変化をもたらすのか、どのような対応をすべきであるかその潮流と変化・革新を取り上げてきました。
技術立脚型経営研究会MOT研究会では、ここ3年にわたり「産業革命」、Idustrie4.0とIoTをテーマにとりあげ、その考え方と産業・企業における取組みを研究・論議してきました。我が国産業の基軸である製造業やIT関連企業、さらに海外にも視点を拡げドイツ企業の取組み捕捉することに勤めました。
そして、2018年にはIdustrie4.0とIoTという言語は社会・産業界などで一般化して、具体的な製品・商品の形になってきています。総じていえば「情報価値による変革」と称することができます。
【改めて“産業革命”を考える】
そこで再度“産業革命”とはなにか、第一次産業革命を改めて考えてみると、それは単に「エネルギーの転換」「産業の進化・発展」という局面のみならず、それに伴って惹起された約100年にわたる変化と革新でもありました。「社会的なシステムの革新」即ち「事業における資本と労働の変化」「土地(農地)の拡大による経済基盤の革新」「貨幣や貿易を軸にした経済活動の変化」などなどです。
いわば「科学と技術による大きな社会の革新」と言えます。
翻って、現在わが国の産業界を取り巻く環境は世界の政治的・経済的な変化環境に左右され、安定感を欠いているように思えます。また「失われた20年」の状況からの脱却も思うに任せません。
【技術立脚型経営の意義】
冒頭に述べた「情報価値による変革」は重要であることはもちろんのことですが、わが国の最も長けていることは「技術と技能を基軸としたモノづくり」にあります。
「デジタル化」「ソフト化」「ネットワーク化」によって世界の産業にもたらされる変化を認識しつつ、テクノロジーに根付いた「モノづくりの革新」を通じてイノベーションを実現させることです。
技術経営は「技術を使って経営すること」、そして「産業は社会と人に貢献することが使命」と考えます。叡智を遍く集め、創意工夫を重ねてわが国産業の作興に貢献できることを企図してまいります。
第17回MOT研究会は、上記のような観点から、基盤になるエネルギー関連、モビリティの変化と部品産業、IoTをキーにしたFA事業、通信の革新、そして経営資源としての知的財産などの課題を提起して、参加者全員で研究・論議して参ります。
(技術立脚型経営研究会)
2月26日(火)
10:00 ~12:30
❐第17回MOT研究会 開講 オリエンテーション
わが国の産業構造、経済のマクロとミクロの現状に焦点をあてながら、わが国の産業の活性と世界的にも優位にある技術の作興を促すべく相互に研鑽いたしたいと考えます。資本主義経済で唯一価値を創造する主体である日本の企業力はどのように変化したのか。試みにマクロ経済とミクロの企業経営の繋がりで振り返り、日本経済、企業の抱える課題と今後の在り方を論議します。
講師 JCTM 理事 鈴木寛純
13:30~17:00
❐課題提起 『(仮題)モビリティの変革に伴う自動車部品サプライヤの動向』
自動車に関する変革は次第に顕在化しつつあり、OEMの技術開発競争をはじめ、コンポーネントを主軸とする部品企業においても技術開発競争が激化しています。その産業構造はどのように変化していくのか。ケイレツ」と「モジュール」、世界の潮流の中でわが国の部品産業は大きな転換期を迎えています。わが国の産業構造のあり方を研究・論議します。
講師 (企業・ 講師 調整中)
18:00 ~20:00
❐懇談会 自己紹介 ・ 第17回MOT研究会 抱負 など
2月27日(水)
10:00 ~12:30 (07:30フォーリッジ発 -事業所見学 —14:45フォーリッジ着 予定)
❐事業所見学 『FANUC株式会社』 (山梨県南都留郡忍野村忍草字古馬場3580番地)
1956年創業のFANUC株式会社はわが国民間でのNCとサーボ機構開発のパイオニアです。一貫して工場の
自動化を追求し、基本技術であるFA事業、応用したロボット事業、ロボットマシン事業の三本柱に、IoTオープンプラットフォーム「FIELD system(*)」を加えた事業を基本に、製造自動化・効率化を推進しています。
(*)FIELD system FANUC Intelligent Edge Link and Drive system 製造現場の機器を接続し生産性の向上をIoT商品で
製造現場のエッジ部分(加工現場 組立現場)で情報を情報リアルタイムで処理できる。さらにAI技術の組み合わせにより各
商品の知能化機能が向上しその結果がIoTで共有可能になり、大きな相乗効果が期待できる。 (FANUC HPより抜粋)
講師 FANUC株式会社 技監 榊原伸介 様
広報部長 藤井敬介 様
15:00〜18:00
❐課題提起 『通信 5G とは・・・ 通信の進化は社会・産業に何をもたらすか』
2020年から5G(第五世代移動通信システム)ネットワークが本格的に普及すると予測され、これまでのシステムを大きく変革すると期待されています。その変革はどのような分野で起こり、社会がどのように変わるでしょう。産業・企業おいてもどのようなインパクトがあるのか研究します。
1、5Gへの期待と動向・富士通の取り組み
講師 富士通株式会社 ネットワークソリューション事業本部 本部長代理 水野 晋吾 様
2、5G時代のつながるサービスに向けた富士通研究所の取り組みについて
講師 株式会社 富士通研究所 取締役 5Gデジタルビジネス戦略担当 奥山 敏 様
19:00~21:00
❐全体討議
26-27日 2日間の講義のまとめ 感想・気付き・意見交換など
研究会参加者 JCTM役員
2月28日(木)
09:00~12:30
❐課題提起 『マツダ株式会社 パワートレーンの開発 ディーゼルハイブリッドへの挑戦』 SKYACTIVで革新的なパワートレーンを開発し称賛されたマツダ株式会社は、さらなる革新を企図して2030年を見据えた技術開発の長期ビジョン、マツダ『サスティナブル“Zoom-Zoom”宣言2030』を発表しました。そして新たに燃焼効率10%高め、燃費性能を20%引き上げたディーゼルエンジン開発に取り組み、2020年をめどに「ディーゼルハイブリッド車」を市場投入する方針です。ディーゼルエンジンに挑戦するマツダ株式会社の取組み、技術開発の意味と戦略を伺います。
講師 マツダ株式会社 常務執行役員 シニア技術開発フェロー 人見 光夫 様
13:30~17:00❐課題提起 『エネルギー産業 2050年』
産業革命の歴史を思い起こせば、それは「エネルギーの変革をキーにした社会基盤やシステムの革新」であったと言っても過言ではないでしょう。現状から長い目で見て将来を俯瞰した時に、エネルギーインフラをいかに維持発展させるかは、産業・事業にとって、さらには我が国にとって最重要な課題です。向後の30年を想定する時、産業はCO2をはじめとする環境変化への対応力と適応力をいかに構築するかは大きく必須の要素となります。
課題提起を頂くとともに、研究会に参加される皆様と共に論議をいたしたいと考えます。
講師 東京電力ホールディングス株式会社 経営技術戦略研究所経営戦略調査室 チーフエコノミスト 戸田 直樹 様
19:00~21:00
❐課題提起 『Round the Table Meeting』
企業・事業の既成概念の払拭・活性化には異業種との接点とコラボレーションが必要です。多業種にわたる方々が参加する研究会の機会を捉え相互情報交換・意見交換を行います。
3月1日(金)
09:00~12:30
❐課題提起 『第四次産業時代の知財戦略 ~事業の弱みを消し、強みを増す知財戦略の要諦~ 』
技術立脚型経営は技術・知財を創造し、重要な経営資産として活用して事業を強くし、持続、発展する経営で経営戦略に知財戦略、標準化戦略を組み込むことが必須である。
1、国際競争に打勝つにはビジョンと先読みによる技術力(自力/アライアンス)と知財力に基づく魅力的な新事業、商品、サービス
を創造し市場を形成、維持、拡大していく「企業(事業)戦略」と、知財の「本質」を認識し、事業の「弱み」を消し「強み」を
増す、企業(事業)戦略に適った「知財戦略 デファクト、標準化(IOT標準化戦略も含む)」が共に必要になる。
2、そして、事業のサイクルに亘って事業を優位にするために事業・技術・知財部門は密に連携して戦略的知財活動をすることが求められる。
講師 弁理士 丸島 儀一 様
13:30 ~16:00
❐課題提起 ミニシンポジウム 『テーマ わが国のイノベーションを問う - 先人に学ぶ』
持続的な競争力の強化には、イノベーションの“エンジンのパワーアップ”と“適切な燃料供給”が必須です。技術競争が激化する中で、イノベーションの継続は必須の要件であることは論を俟ちませんし、資源に乏しいわが国においてイノベーション力強化は喫緊の課題です。「技術を牽引してきた諸先輩のメッセージからの気付き」と「現在と将来の競争環境を踏まえた皆様自身の創意工夫」の組合せから学ぶことは大きな価値を生み出す源泉であると考えます。これらを切口としたワークショップにおける率直な議論で得た気付きが、皆様のアクションプランに織り込まれるように期待いたします。
講師 JCTM 理事 池上 眞平 様
16:00 ~ 16:30
❐修了式 ・閉講